2004年6月30日 水曜日

準不燃内装木材(ヒヨケール)を共同開発


代理店2社で販売開始
県産スギ使用、低コスト化も実現

県林業試験場(榛東村新井2935 027-373-2300)は、21日、準不燃性能を持つ低価格な内装用県産スギ材「ヒヨケール」を民間企業との共同研究により開発したと発表した。販売に当たり、佐々木木材防腐株式会社(前橋市)と株式会社ザイエンス北関東工業(伊勢崎市)の2社と代理店契約を交わしており、注文受付を始めた。同試験場では、これから建築設計事務所や住宅建設会社を対象にした講習会などを開いて、普及に向けたPRをしていく方針。

準不燃内装木材を共同開発!!

一般的に準不燃内装木材の開発は、平成12年6月の建築基準法の改正で耐火条件に関する規制緩和をきっかけに活発化。従来の基準と異なり、一定の不燃規定を満たせば、あらゆる材料の使用が認められることになったため、全国で耐火木材の開発が競って進められるようになった。
 共同研究者は、難燃、準不燃木材の加工処理や難燃剤販売の株式会社日本防災化学研究所(東京都江東区)。県林業試験場と同社では、平成14年5月に県産スギ材による準不燃材料を開発するための共同研究契約を交わして以来、試験場が難燃処理したスギ材の薬剤溶出防止技術を、そして同社が難燃薬剤の調合をそれぞれ担当し、開発に取り組んだ。
 同試験場によると、温度27℃、湿度90%の高湿度と40℃の乾燥サイクル試験により、有効成分を溶出しにくい難燃薬剤を開発するつとともに、完全に溶出を抑止するための塗装工程を取り入れた技術方式を完成。平成15年9月に財団法人県材試験センターでの防火性能試験に合格した。
 これにより、一般の準不燃木材の欠点だった高湿度の環境下での有効成分の溶出を抑えることに成功、「ヒヨケール」は発熱性試験とガス有害性試験をクリアした。製品は、木材の特徴である吸湿性能もムク材と同等の水準を持つとともに、低コストで環境負担の少ないのが特徴でホルムアルデヒドの放散がないことが確認されているほか、準不燃材料として16年2月には国土交通大臣の認定も受けている。
 今のところ、県産スギ材は日本防災化学研究所へ送り薬剤注入された後、佐々木木材防腐株式会社(前橋市)と株式会社ザイエンス北関東工場を通じて出荷される予定で、将来的に群馬県内で薬剤注入できるようにしたい考え。
 近年はシックハウス被害などに伴い、住宅県材に対する消費者の関心は高まっている。木材を内装材料として使用するニーズが増加傾向にあるなか、同試験場では今回の商品について「設計士の方々にどのような商品なのか理解して欲しい」と話しており、近く、商品説明の講習会を開催する予定だ。